WG8 代表
中津井 雅彦
京都大学大学院医学研究科 臨床看護学講座 ビッグデータ医科学分野
医薬品開発において、有効性及び安全性を適正に評価できる臨床試験を実施することは極めて重要である。本PJにより、AIを利用して最適な治験デザインを計画することは効率的な医薬品開発に繋がり、ひいては医薬品をいち早く患者さんに届けることが出来るものと考える。そのために、今まで蓄積されている各種データに基づき、臨床試験の成功確率等を加味して、最適な治験デザインを提案させるAIを開発する。
公開済みの薬事関連資料(審査報告書等)を活用し、開発プランの策定や審査における留意点の分析・取得を可能とするAIシステムを開発する。期待する効能や化合物の基本情報を入力することで、想定される開発計画案、評価項目、承認条件等を出力するモデルを作成する。この結果、医薬品開発の効率化、成功確率の上昇を目的としている。
電子カルテや調剤データの記載から、医薬品投与後に発生した患者の有害事象を抽出するシステムを構築する。このシステムにより、電子カルテ上にリアルタイムに有害事象の発現情報を可視化させることで、医療従事者への診療補助情報を提供することができる。さらに医薬品投与後に発生した有害事象情報を漏れなく収集し、データベース化することで、医薬品副作用研究並びに医薬品リスクの最小化施策につなげることを目指す。
添付文書などの医薬品の基本情報を知識構造化データとし、医薬品の問合せに活用可能な対話型質問応答システムを視野に入れたAIシステムを開発する。この結果、医薬品に関する質問に迅速かつ何時でも対応し、様々なメディアからの医薬品情報へのアクセスが容易になることを目標とする。ひいては個別化医療など新たな治療ニーズに応じた情報入手が可能となること及び医薬品基本情報の共通・共有化を目指す。
医療技術評価(HTA/HEOR)業務における費用対効果(費用対効用)の評価に必要なエビデンス収集支援システムを構築することを目的とし、既存報告を学習用データとして、HTA/HEOR関連の文献調査にかかる時間とコスト短縮に有用なAIシステムの開発を進めている。本プロジェクトを通じ、医薬品等の価値の評価が適切に成され、治療を必要とされる方々に速やかに提供されることに貢献したい。