WG5 代表
本間 光貴
理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター 生命分子制御研究グループ
https://www.bdr.riken.jp/jp/research/labs/honma-t-structure/
任意の目的化合物を入力することで、市販化合物等を始点とし、目的化合物を終点とする合成経路を出力するシステムを開発する。このシステムは、化合物を合成することが可能な反応を予測するモデルと、それら反応の組み合わせを行い、目的化合物までの経路を探索するモデルから成る。ここで開発される合成経路予測システムを利用することで、目的化合物までの合成計画立案や合成検討に要する時間が短縮可能となり、創薬研究の効率化やコスト低減に繋がることが期待される。
従来のような構造式組み立てルールに依存しない『化学構造式生成AI』を開発し、分子設計で扱える構造式の多様性(ケミカルスペース)の拡大を図る。また、本AIでは、化学構造式が潜在空間に写像される特長を活かし、逆問題、すなわち活性やプロパティ等の向上した化合物のコンピュータ探索を実現する。これらにより従来の分子設計を大きく改善させ、目標化合物に到達する確率を高めることを目的とする。
化合物構造式を入力して薬理活性や毒性などの特性予測値を出力するAIシステムを開発する。本システムの特徴は、プロジェクトで開発した特徴量や記述子等を新たに実装するだけでなく、ユーザが独自の特徴量などを付加することができる。これらを最新の深層学習法と効果的に組み合わせることにより、創薬現場で必要とされる様々な化合物特性に対する高精度の予測モデル構築が期待され、創薬研究の効率化・加速化に貢献する。
代謝安定性や経口吸収性などの薬物動態やhERG阻害などの毒性を予測する機械学習モデルと、任意の化学構造を入力して予測結果(薬物動態や毒性等)を高精度に出力するAIシステムを開発する。AIに化学構造を入力することは大きな課題の一つであるが、化学構造をSMILES等に変換せずグラフデータとして入力し、学習させることにより高い精度を目指す。この結果、新薬の開発期間短縮に資することを目的としている。