設立趣意・役割と意義OBJECTIVE

設立趣意

前回のLINCを立ち上げた当時は、クイズ番組でのIBM Watsonや囲碁の世界でのGoogle AlphaGoなどの活躍により人工知能(AI: artificial intelligence)が大きく注目され、その利活用は自動車の自動運転への応用など多くの産業分野において急速に進展しつつありました。ライフサイエンス分野でのAIとビッグデータの活用は、他の分野と比較すると当時は端緒に就いたばかりでした。

我々はLINCを発足させ、本邦での製薬・化学・食品・医療・ヘルスケア関連のライフサイエンス分野におけるAIならびにビッグデータ技術の進展・応用を図り、関連諸分野の産業振興を目指すべく、活動を開始しました。2017年7月からテーマ別に研究開発を開始し、2020年9月までにアカデミア、ライフ系・IT系企業等 121企業・団体、参加者約640名の多くの方にご参加いただき、学会発表23件(内、国際学会2件)、論文発表4件、特許申請1件、商用化に移行5件の成果を上げました。さらに、この活動が認められ第2回 日本オープンイノベーション大賞 厚生労働大臣賞を受賞するなど、大きな成果をあげることができました。

一方、LINCで活動を行っていた3年間に、糖尿病網膜症を検出するAIを用いたデバイスが医療機器として初めて承認されたのを皮切りに、「中枢神経領域」「認知症・介護」「糖尿病」といった領域でデジタルセラピューティクス(DTx)や治療支援ソリューションが開発され、研究開発分野でも、デジタルの活用が活発化し、業界平均で4年半かかるとされる探索研究をわずか1年未満で達成することができました。AI創薬がいよいよ実用段階に入るなど、世の中も大きく進展しています。

そこで、我々の活動も一段そのステージを上げるべく、LINCを法人化し新たな出発を図ることにいたしました。これまでのLINCの活動を通じて、ライフサイエンス企業とIT企業の人的交流が促進され、さらにライフサイエンス企業にはAI技術の知識を、IT企業にはライフサイエンス企業のニーズを知ってもらえました。これを土台に、従来のLINC同様、アカデミアの触媒機能により、IT業界とライフ業界の連携を促進し、AI戦略によるライフ業界の産業競争力を加速することを目指します。

役割と意義

LINCは、ライフ系企業、IT系企業、アカデミアと言った得意分野が異なる人々が協業し、ライフサイエンス分野のAI、ビッグデータのアプリケーション開発及び社会実装により、さらなる分野の発展と人材育成、デジタルトランスフォーメーションの推進、経済振興を目指します。

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LINC コンセプト図


LINCが目指す創薬DXプラットフォーム

LINCでは、理化学研究所、京都大学、医薬基盤・健康・栄養研究所と連携して、開発済/中の創薬プロセスにそった約30種のAI・HPC技術を「富岳」に実装し、HPC/AI駆動型創薬プラットフォーム(HPC/AI創薬PF)とそこに必要な創薬知識データベース(創薬DB)を構築し、サービス化を目指します。


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